COVID-19はライフサイエンス業界にどのような影響を及ぼしたのか?

研究用試薬・機器
Image by Jeyaratnam Caniceus from Pixabay

こんにちは。外資系研究用試薬メーカーで働いているうさえです。

2019年12月に発生した新型コロナウイルス感染症COVID-19は、今も世界中で感染の拡大が続いています。 そして、多くの人が外出や旅行を控えたことで、観光業界や外食産業など様々な産業が影響を受けています。

今回は、試薬メーカーなどのライフサイエンス業界におけるCOVID-19の影響について、CiteAbに次のような記事がありましたのでご紹介します。

Life(sciences) after Covid - the state of the sector - CiteAb Blog
The commercial world is fighting to return to normality as it slowly emerges from various national lockdowns that resulted from Covid-19, and today we take a lo...

上場企業の株価はどうなった?

3月から4月頃は世界中の株式市場で株価が下落していましたが、ライフサイエンス業界もやはり大きな影響を受けていたようです。

ライフサイエンス関連で上場している企業として、ここではThermo Fisher、Merck、Abcamの3社を取り上げています。

例えば、アメリカでバーやレストラン、映画館などを閉鎖することが発表された3月16日には、上記の企業の株価が20%近く低下したそうです。中には27%も下落したメーカーも。

しかしながら、これは一時的な下落だったようで、5月下旬には持ち直しているようでした。配当金の減額なども特に予定されていないようです。

非上場企業はどんな感じ?

上場していない企業の場合、財務状況が公開されていないので情報を得るのが難しいですが、この記事ではCSTのChief Commercial Officerにインタビューをしています。

それによると、世界各地で研究室が閉鎖された時は一時的に影響があったようですが、そのような状況でもSARS-CoV-2の研究は各国で続けられているので、それに関連する製品を開発、供給することで研究者を支援しています、というようなことが書いてありました。

また、RocklandのChief Science Officerにもインタビューをしていて、中短期的にサプライチェーンの安定性が影響を受けるようなことが続いた場合、これまでのように世界規模で原材料を外部委託するような傾向が変化するかもしれない、といったコメントがありました。

メーカーによっては、本社の所在地以外の国に製造拠点や原材料の供給元があるから、今回のような事態でも安定して製品を生産できるように何らかの改善が必要なところもあるのかも。

緊急事態宣言中はいつもと違ったか?

さて、私も実際に試薬メーカーで働いているわけですが、 COVID-19の、というよりも緊急事態宣言による影響はあったな、と思っています。

例えば、4月、5月は顧客からの問い合わせが非常に少なくなりました。 研究室に行くことができなければ実験もできないでしょうから、そうなりますよね。

その一方で、製品が売れなくなったかというと、減ってはいるもののそれほどひどい減少ではなく、ちょっと意外でした。

物流が滞ることを不安に思って、買える時に購入しておこう、みたいな買いだめ?があったらしい。 試薬類は輸入製品がかなり多いからでしょうね。

(でも、使用期限のある製品も少なくないので、大量購入する場合は使用頻度を考慮してくださいね)

あとは、3月からずっと、現在も在宅勤務です。 また、出張や顧客訪問が禁止されています。

最後に

というわけで、試薬メーカーも色々と影響を受けてはいますが、今のところ、COVID-19が原因で倒産したというメーカーは無いはず。

感染症の研究に必要な製品を供給するという重要な役割も担っているので、今回のようなパンデミックの時でも需要はゼロにはならない業界だといえると思います。

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